生理中にピラティス・ヨガはしていい?生理痛と運動の研究と、休んだほうがいい日|目黒のStudio KAJi
「生理中だけど、予約していたピラティスに行っても大丈夫?」「生理痛にはヨガがいいと聞くけれど、本当?」——目黒で女性専用のヨガ・ピラティススタジオを営む私たちが、会員さまから実際によくいただく質問です。
先に結論をお伝えすると、体調がよければ生理中でもピラティスやヨガに参加して問題ないと考えられます。ただし、「生理中に動くと生理痛が楽になる」という言い方には少し注意が必要です。研究で生理痛が軽くなったと報告されているのは月をとおして続けた運動で、生理中の1回の運動で痛みが引くかは確かめられていないからです。
この記事では、生理中の運動について研究で分かっていること、レッスン中の過ごし方、そして休んだほうがいい日・婦人科に相談したほうがいいサインを順に整理していきます。
生理中にピラティス・ヨガはしてもいい?
生理周期のどの時期に運動するかで、持久力や筋力といった運動能力がどれくらい変わるのか。これを調べた78件の研究をまとめた報告(2020年)があります。結論は次のとおりです。
- 生理が始まってから数日間(卵胞期の初め)は、ほかの時期に比べて持久力や筋力の数値がわずかに下がる傾向があるとされています
- ただしその差は「ごくわずか」で、研究どうしのばらつきも大きく、質の低い研究も多いとされています
- そのため、生理周期に合わせた一律の運動の指針はつくれず、一人ひとりの反応に合わせて考えるのがよいとまとめられています
厚生労働省研究班が監修する「ヘルスケアラボ」でも、トップ選手630名への調査で91%が「生理周期とコンディションは関係がある」と答えた一方、もっとも調子がよい時期は選手によって異なると紹介されています。
つまり「生理中だから運動してはいけない」というより、「生理中の体調には個人差が大きいので、自分の体の声を基準にする」と考えるのが実態に近そうです。いつもどおり動ける方もいれば、初日や2日目はつらいという方もいます。どちらも自然なことです。
生理痛と運動:研究で分かっていること
運動と生理痛の関係については、比較的多くの研究があります。対象になっているのは、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因ではない生理痛(機能性月経困難症)です。
複数の臨床試験をまとめたコクラン・レビュー(2019年)は、中等度から重度の生理痛がある女性を対象にした12件の試験・計854名を検証し、次のように報告しています。
- 運動をしない場合と比べて、運動は生理痛の強さを大きく減らす可能性があるとされています。痛みを100mmの目盛りで表すと、およそ25mm分の軽減にあたり、実感できる差と考えられています
- 試験で使われた運動は、ストレッチ・体幹の筋力トレーニング・ヨガといった低強度のものから、ズンバや有酸素トレーニングといった高強度のものまでさまざまでした
- 効果が見られた運動の目安は、1回45〜60分・週3回以上で、強度にはよらないとされています
- 一方で、エビデンスの質は「低い」と評価されています。運動をやめたあとも効果が続くのか、25歳以上の女性でも同じ効果があるのかも、まだはっきりしていません
ここで大切なのは、レビューのなかの一文です。どの試験も運動を月をとおして定期的に行っており、なかには生理中は運動しないよう参加者に求めた試験もあった、とされています。つまり研究で示されているのは「ふだんから運動を続けると生理痛が軽くなる可能性がある」ということで(証拠の質は低いとされています)、「生理中にその場で動くと痛みが引く」かどうかは確かめられていません。
その後、2024年には29件の試験・1,808名をまとめた分析が報告されました。リラクゼーション系の運動、筋力トレーニング、有酸素運動、ヨガなどを比べたところ、8週間続けるとどの運動でも生理痛が軽くなり、なかでもリラクゼーション系の運動がもっとも効果的で、途中でやめてしまう人も少なかったとされています。
ヨガだけに絞った4件の試験・230名のまとめ(2019年)でも、ヨガを行ったグループで生理痛が大きく軽減したと報告されています。
ピラティスについてはまだ研究が少なく、生理痛のある若い女性30名を対象にした予備的な試験(2023年)があります。週2回・12週間のピラティスを行ったグループでは、生理痛と生理にともなう症状、月経前の症状が軽くなり、背中の柔軟性や股関節まわりの筋力、睡眠の質、ストレスも改善したとされています。ただし人数が少なく、結論を出すにはさらに研究が必要な段階です。
まとめると、「ヨガやピラティスを含む運動を数週間〜数か月続けることは、生理痛の軽減に役立つ可能性がある」というのが、いま分かっていることです。ピラティスとヨガのどちらがよいかについて、はっきりした優劣は示されていません。違いについてはヨガとピラティスの違いで解説しています。
生理痛の原因と、運動が効く理由はどこまで分かっている?
生理痛の主な原因と考えられているのは、「プロスタグランジン」という物質です。ヘルスケアラボでは、生理のときに作られるこの物質には痛みを感じやすくする作用と子宮の収縮に関わる働きがあり、多く作られる人ほど生理痛が強くなると説明されています。実際、プロスタグランジンができるのを抑える痛み止めは、80件の試験をまとめたコクラン・レビューで、偽薬より生理痛を和らげると報告されています。ただし、痛み止めで十分に楽になる人は半数ほどで、生理痛がこの物質だけで説明できるかは、まだ分かっていません。
ヘルスケアラボでは、生理が始まる1週間くらい前からのジョギング、ウォーキング、水泳、ヨガなどの運動が勧められています。一方で、運動がなぜ生理痛を軽くするのかは、まだはっきりしていません。「骨盤の血流がよくなるから」と説明されることがありますが、生理痛のある女性で子宮の血管の抵抗が高まっていたのは生理の初日で、生理前には差がなかったという研究や、運動を続けても子宮の血流と痛みの強さに関係が見られなかったという研究もあります。
先ほどのピラティスの試験では、研究者自身が、生理痛が軽くなった理由の一部に体の機能(柔軟性や筋力)と睡眠の質の改善が関わっている可能性を挙げています。2024年の分析でリラクゼーション系の運動がもっとも効果的だったことも考えると、筋肉を動かすことだけでなく、呼吸を深めて緊張をゆるめる時間そのものにも意味があるのかもしれません。この点はまだ研究の途中です。
生理中のレッスン、どう過ごす?
ここからは、生理中にレッスンへ参加するときの実践的なポイントです。
まずは強度です。
- 「今日は8割くらい」と決めて、いつもより一段やさしい形で動きましょう
- 痛み、強いだるさ、立ちくらみがあるときは、その場で休んでかまいません。チャイルドポーズのような楽な姿勢で呼吸を整えるだけでも十分です
- 自分の体調は、自分がいちばんよく分かります。周りと同じ形をとる必要はありません
次に、お腹に強く力を入れる動きと、逆さになるポーズです。
- ピラティスでは、仰向けで頭と脚を持ち上げたままお腹に力を入れ続ける動きがあります。生理痛やお腹の張りがある日は、膝を曲げる、頭を床に下ろすなど負荷を落とした形に変えられます
- ヨガの流派や指導者によっては、生理中は肩立ちなど逆さになるポーズを控えるよう伝えているところがあります。気になる方は無理に行う必要はありません
- Studio KAJiでも、クラスによっては逆転のポーズやお腹に強く力を入れる動きが入ることがあります。レッスン前に「生理中です」とひと言お伝えいただければ、インストラクターが別のポーズに置き換えたり、強度を調整したりします
漏れ対策と服装も、事前に準備しておくと安心です。
- 量の多い日は、タンポンや月経カップ、吸収量の多いナプキンを使うと安心です
- ボトムスは濃い色を選ぶと、万一のときも気になりにくくなります。お腹まわりを締めつけすぎない、ハイウエストのレギンスもおすすめです
- 着替えを1組持っておくと、レッスン後も気持ちよく過ごせます
最後に、水分と室温です。
- 生理中は体調が揺らぎやすいので、レッスン前後とレッスン中にこまめに水分をとりましょう
- 室温を高くしたホットヨガは汗で水分を失いやすい環境です。体調が気になる時期は、常温のクラスを選ぶのもひとつの方法です。違いはホットヨガと常温ヨガの違いで解説しています
休んだほうがいい日・婦人科に相談したいサイン
生理痛は、軽いものなら生理のある女性の約7割にみられるという報告もあり、珍しいものではありません。一方で、日常生活に支障が出るほど強いものは「月経困難症」と呼ばれます。月経困難症には、特に原因となる病気がない「機能性」と、子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症などの病気が原因になっている「器質性」の2つのタイプがあるとされています。
次のような日は、無理に参加せず休んでかまいません。
- 痛みで横になっていたい、集中できないほどつらい
- 経血量が多く、立ちくらみや強いだるさがある
- 痛み止めを飲んでも、動くと痛みが強くなる
ヘルスケアラボでは、生理痛を我慢する必要はなく、痛み止めは強い痛みになる前に早めに飲むほうが少ない量でよく効くと紹介されています。
また、ヘルスケアラボでは、次のような痛みがあるときは月経困難症の可能性もあるため、我慢せず婦人科に相談するよう勧められています。
- 日常生活に支障が出るほどの痛みがある
- 痛みが年単位で強くなってきている
- 生理のとき以外にも痛みがある
同じくヘルスケアラボの「スポーツと生理」では、運動する女性に向けて、次のような場合も婦人科への相談を検討するよう勧めています。
- 生理前のイライラ、体重増加、むくみ、胸の張りなどの症状が強い
- 3か月以上、生理が止まっている
運動量に見合った食事がとれていない「エネルギー不足」の状態については、生理不順や無月経がそのサインである可能性があると指摘されています。急に体重が減った、運動量が増えたという時期がある方には、食事からとるエネルギーを増やすよう勧められています。生理が3か月以上止まっているときは、早めに婦人科へ相談してください。
日本産科婦人科学会は、生理の出血量が極端に多い、生理と生理の間に出血がある、といった出血を繰り返す場合は、病気が隠れていることがあるため産婦人科を受診するよう呼びかけています。
子宮内膜症が気になる方は、Studio KAJiと同じフロアにあるレディースクリニックなみなみの子宮内膜症のセルフチェックも参考にしてください。
生理周期とうまく付き合うために
生理痛対策として運動を取り入れるなら、生理中だけでなく、月全体で考えるのがおすすめです。
- 研究で効果が見られた目安は、1回45〜60分・週3回以上の運動を数週間〜数か月続けることです。まずは週1〜2回のレッスンに、ウォーキングなど日常の運動を組み合わせるところから始めてみてください
- ヘルスケアラボでは、生理の1週間ほど前から体を動かしておくことが勧められています。研究で効果が見られたのは、月をとおして続けた運動です
- 生理中は「休む」「強度を落として参加する」のどちらを選んでもかまいません。体調に合わせて選べることが、続けるうえでいちばん大切です
- 生理周期と体調の関係を、アプリや手帳に簡単に記録しておくと、自分にとって動きやすい時期・休みたい時期が見えてきます
ピラティスの頻度と効果の現れ方については、ピラティスの効果はいつから?で詳しく解説しています。
目黒で、生理中も通いやすいスタジオを探している方へ
Studio KAJiは、目黒駅から徒歩4分の女性専用のヨガ・ピラティススタジオです。
- 女性専用なので、生理中の不安や体調の変化をインストラクターに伝えやすい環境です
- 全クラス常温で、ピラティスはマットで行います。その日の体調に合わせて、強度を落とした形に変えやすいのが特徴です
- 更衣室とロッカーを完備し、お手洗いにはサニタリーボックスを置いています
- レッスン前日22時までのキャンセルは無料です。当日に体調がすぐれないときも、お気軽にご相談ください
開催中のクラスはクラス紹介でご覧いただけます。はじめての方は、体験レッスンからどうぞ。
まとめ
- 体調がよければ、生理中でもピラティスやヨガに参加してかまいません。生理が始まってから数日間に持久力や筋力が下がる幅は「ごくわずか」とされ、調子のよい時期も人によって違います
- コクラン・レビューで生理痛が軽くなったと報告されているのは、月をとおして週3回ほど続けた運動です。生理中の1回の運動で痛みが引くかは、確かめられていません
- 生理中のレッスンは強度を一段落とし、お腹に強く力を入れる動きや逆さになるポーズは、気になれば無理をせず置き換えましょう
- 日常生活に支障が出る痛み、年々強くなる痛み、生理以外の時期の痛みがあるときは、我慢せず婦人科に相談してください
参考文献
- Armour M, et al. Exercise for dysmenorrhoea. Cochrane Database of Systematic Reviews 2019
- Tsai IC, et al. Comparative Effectiveness of Different Exercises for Reducing Pain Intensity in Primary Dysmenorrhea: A Systematic Review and Network Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Sports Medicine - Open 2024
- Kim SD. Yoga for menstrual pain in primary dysmenorrhea: A meta-analysis of randomized controlled trials. Complementary Therapies in Clinical Practice 2019
- Song BH, Kim J. Effects of Pilates on Pain, Physical Function, Sleep Quality, and Psychological Factors in Young Women with Dysmenorrhea: A Preliminary Randomized Controlled Study. Healthcare 2023
- Marjoribanks J, et al. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs for dysmenorrhoea. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015
- Altunyurt S, et al. Primary dysmenorrhea and uterine blood flow: a color Doppler study. Journal of Reproductive Medicine 2005
- Kovács Z, et al. The Effect of Exercise on Pulsatility Index of Uterine Arteries and Pain in Primary Dysmenorrhea. Journal of Clinical Medicine 2023
- McNulty KL, et al. The Effects of Menstrual Cycle Phase on Exercise Performance in Eumenorrheic Women: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine 2020
- 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)「生理痛(月経痛)」
- 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)「月経困難症」
- 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)「スポーツと生理(月経)」
- 日本産科婦人科学会「異常子宮出血と不正性器出血」

