マットピラティスとマシンピラティスの違いは?どっちがいいかの選び方|目黒のStudio KAJi
「マシンピラティスとマットピラティス、どっちから始めればいいですか」——体験レッスンのお問い合わせで、最近いちばん増えている質問です。
検索するとマシンピラティスのスタジオばかりが出てくるので、マットは初心者向けの簡易版だと思われていることがあります。実際には、この2つは「器具があるかないか」という以上に、体への負荷のかかり方が違います。この記事では、マット専門でやっている立場から、それぞれ何が違い、どちらがどんな方に向いているのかを整理します。
マットとマシンは、器具の有無だけの違いではない
マシンピラティスで使うリフォーマーやキャデラックといった器具には、バネがついています。このバネが、動きを助けることも、負荷をかけることも両方できます。
つまりマシンは、その人の状態に合わせて負荷を細かく調整できる道具です。力が足りない部分はバネが助け、鍛えたい部分にはバネが抵抗になります。動きの軌道もある程度決まっているため、フォームが崩れにくいという特徴があります。
一方マットピラティスとは、専用のマシンを使わず、マット1枚の上で自分の体重だけを負荷にして行うピラティスのことです。助けてくれるものがないかわりに、体を支える力を自分で作る必要があります。軌道を決めてくれるものもないので、どこに力を入れるかを自分で判断することになります。
同じ「ピラティス」という名前でも、体の使い方はここで分かれます。
マシンが向いている人、マットが向いている人
どちらが優れているという話ではなく、目的と体の状態によって向き不向きがあります。
マシンに利があるのは、次のような場合です。
- 痛みや可動域の制限があり、自力では動かしにくい部分がある
- 特定の部位をピンポイントで鍛えたい
- フォームが崩れやすく、軌道を外から補助してほしい
なお、痛みが続いている場合は、方式を選ぶ前に医師に運動の可否をご確認ください。
マットに利があるのは、次のような場合です。
- 姿勢のクセを、日常の動きの中で直していきたい
- 自宅でも続けたい
- 体幹を自分の力で支える感覚を身につけたい
Studio KAJi がマットを選んでいるのは、姿勢のクセは日常生活の中で作られるものであり、道具に支えられていない状態で立て直せることが最終的なゴールだと考えているからです。
「マットのほうが簡単」ではない
よくある誤解が、マットは初心者向けでマシンは上級者向け、というものです。実際には逆の場面もあります。
バネの補助がないぶん、マットでは自分の体を自分で支え続けなければなりません。たとえば仰向けで脚を持ち上げる動きひとつでも、骨盤をニュートラルに保ったまま行うのは簡単ではありません。マシンならバネが軌道を助けてくれる場面が、マットでは全部自分の力になります。
もちろん、マットには強度を落とす方法がいくらでもあります。膝を曲げる、可動域を狭くする、片脚ずつにする。だから初めての方でも始められます。マシンがバネの強さで負荷を変えるのに対し、マットは動きの選び方で強度を変えます。「簡単だから初心者向け」なのではなく、「動きの選び方で強度を変えられるから初心者から続けられる」というのが正確なところです。
骨盤の位置を保つという話は反り腰はピラティスで整う?で詳しく扱っています。
費用と続けやすさ
マシンピラティスは、器具の導入と維持にコストがかかるぶん、レッスン料金が高くなる傾向があります。マンツーマンのパーソナルを中心にしているスタジオも多く、1回あたりの単価はさらに上がります。
マットピラティスはグループレッスンで行われることが多く、1回あたりの負担は抑えられます。
ピラティスは数回で完成する運動ではなく、動きを学び直していく過程が要ります。続けられる金額かどうかは、方式を選ぶうえで無視できない条件です。効果が出るまでの期間についてはピラティスの効果はいつから?で整理しています。
自宅で再現できるのはマットだけ
これはマットの明確な利点です。
レッスンで覚えた動きを、その日の夜に自宅の床で繰り返せます。マシンを自宅に置くのは現実的ではありませんが、マットなら自分の体とマット1枚があれば同じ動きができます。
運動は週末にまとめて行うより、週に何度かに分けるほうが勧められています。週1回のレッスンだけでは、一般に推奨される運動量には届きません。レッスンで基準を作り、自宅で量を足す——この組み合わせができるのは、道具に依存しない方式だからです。
ただし、基準がないまま自宅で回数だけ重ねると、クセをそのまま強化してしまうことがあります。まず外から見てもらうのが先です。
研究で分かっていること——マットとマシンを比べた1本の試験
正直に書いておくと、マットとマシンを直接比較した研究は数が少なく、そのなかにはマシン側に有利な結果を報告したものもあります。
慢性的な腰の不調のある方をマットと器具の2群に分けた比較試験では、6週間・12回のプログラムのあと、どちらの群も改善したと報告されています。ただし6か月後の時点では、日常生活の支障と、動くことへの怖さの指標について、器具を使う方式のほうが良い結果だったとされています。一方で、痛みの強さと全体的な改善の実感については、両群に差が見られなかったとも報告されています。
腰の不調とピラティスを検討した系統的レビューのほうは、そもそもマットと器具を比べることを目的にしていません。比較しているのは「ほとんど運動しない場合とピラティス」「ピラティス以外の運動とピラティス」で、方式の違いは問いに含まれていません。このレビューが示しているのは、ほとんど運動を行わない場合と比べればピラティスは痛みと日常生活の支障を減らすとされる一方、ピラティス以外の運動と比べて明確に優れているとまでは言えず、エビデンスの質も低い〜中程度と評価されている、ということです。
つまりいま分かっているのは「マシンが全面的に優れている」でも「まったく同じ」でもなく、限られた研究のなかで一部の指標に差が出た、という程度のことです。「マシンのほうが効果が高い」「マットのほうが本格的」といった言い切りを見かけたら、それは研究の結論ではなく、書き手の立場から出た話だと考えていただくのが安全です。
私たちがマットを勧める根拠も、研究ではありません。日常に持ち帰れるかどうか、という考え方によるものです。半年後に一部の指標で差がついたことよりも、その半年をどちらで続けられるかのほうが、私たちには大きい問題だと考えています。
目黒・中目黒でマットピラティスを受けるなら
Studio KAJi(目黒駅西口より徒歩4分)は、女性専用のヨガ・ピラティススタジオです。専用マシンは置いておらず、マットピラティスに絞っています。所在は目黒区目黒です。
ヨガとどちらにするか迷っている方はヨガとピラティスの違いもあわせてご覧ください。ヨガとピラティスの違いと、ピラティスの中でのマットとマシンの違いは別の話なので、順番に整理していただくと選びやすくなります。
クラスの詳細はピラティスのクラス紹介、開催日はレッスンスケジュールでご確認いただけます。まずは体験レッスンからどうぞ。
まとめ
マットとマシンの違いは、器具の有無ではなく負荷の作り方にあります。マシンはバネが助けと抵抗の両方になり、マットは自分の体重だけが負荷になります。
痛みや制限があって自力では動かしにくい部分があるならマシンに利があり、姿勢のクセを日常の中で立て直したい、自宅でも続けたいならマットに利があります。どちらが優れているかは、研究上まだ決着がついていません。
「簡単そうだからマット」ではなく、「日常に持ち帰りたいからマット」。そう考えていただくのが、いちばん実際に近いと思います。

